研究概要 |
本研究は鋼・コンクリート合成長柱の耐力評価法に関して,以下の3つの研究を行った. 1.鋼・コンクリート合成柱に特有の問題ではないが,節点の水平移動がある柱材の座屈長さ係数の簡便な算定法を提案した.建築物の柱材の設計では,柱材の座屈長さを求める必要がある.柱材の節点が水平移動しないと考えられる場合には,座屈長さは材長を取れば安全側となる.しかしながら,柱材の節点が水平移動する場合には,座屈長さは節点間距離以上となり,適切に評価する必要がある.骨組が均等で骨組内の全ての柱が同時に座屈するとした場合の座屈条件式や設計図表は与えられているが,座屈条件式は三角方程式であり,精解値を算出するのは煩雑である.また,設計図表による場合も大まかな値を評価するには良いが,精確な値を評価しにくい.このような状況のもとで,エネルギ法を用いて座屈長さ係数を算出し,その値を多少,修正することにより,精度が良く,使いやすい座屈長さ係数評価法を提案した. 2.鋼・コンクリート合成柱の簡便な座屈耐力評価法を提案した.まず,種々の内蔵鉄骨をもつSRC断面や,充填鋼管,被覆鋼管,充填被覆鋼管柱に対して鋼とコンクリートが一体として座屈するとした時の「一体座屈荷重」と鋼,コンクリートの構成要素の座屈荷重を累加して算定した「累加座屈荷重」の関係を,鋼,コンクリートの強度を広範囲に変化させて調べた.次に鋼柱の座屈荷重とコンクリート柱の座屈荷重の累加として鋼・コンクリート合成柱の座屈耐力を評価することを提案した. 3.軸力と2軸曲げを受けるコンクリート充填角形鋼管柱の変形挙動と最大耐力を示した.実験変数として,座屈長さ・断面せい比,偏心距離,2軸曲げ角度を選び,材の両端に等偏心の圧縮力を載荷する実験を行った.実験結果より,弾塑性変形挙動と最大耐力に関して考察を行っている.
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