研究概要 |
本研究は、まず消火活動が迅速に行える消防水利の整備場所を的確に決定でき,さらに,それらの消防水利まで消防署から消防車が最短距離で到達できる道路の防災性能を道路毎に評価できる手法を構築した。本手法はCADとの連携を図ったもので,本手法によって,具体的なまちづくり方策を導き出せるだけでなく,まちづくりのイメージを視覚的に示せることがわかった。 次に、平坦地にある木造住宅密集市街地,傾斜地にある木造住宅密集市街地,木造商店密集市街地という,土地利用形態や地形が異なる3つのタイプの木造密集市街地が混在する地区を北九州市内から取り上げ,数量化II類分析を用いて,土地利用形態や地形が異なる木造密集市街地毎に,地震火災の被害拡大に影響する要因を街区と道路について抽出した。その結果,同じ木造密集市街地でも,土地利用形態や地形によって,地震火災の被害拡大に影響する要因が大きく異なることがわかり,それぞれ独自性のあるまちづくりを展開する必要があることを指摘した。 さらに、地震火災に対する市街地の防災性の評価とそれに基づいた計画案の作成及びその計画実施による火災被害の軽減効果の検討まで行えるエキスパートシステムをGISに統合し,容易な操作で高度な計画策定支援が可能な防災まちづくり支援システムを開発した。エキスパートシステムは,防災の専門家らに行ったヒアリング調査結果や阪神・淡路大震災の被災実態に関する既往研究成果などからエキスパートシステムの構築に必要な知識を収集整理して,これらを知識ベースとしてまとめ,モデル化することにより構築した。こうして開発した防災まちづくり支援システムを研究対象とした地区へ適用して,まちづくりによる防災効果を視覚的に把握しながら,効率良く計画づくりが行えることを実証した。
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