研究概要 |
最近に至って、ナノオーダーいわゆる原子単位で物質を析出させるという物質製作が薄膜で行えるようになってきており注目を集めているが、これらは主として気相法によるものである。我々はこのことを溶液からの還元反応である電気化学的手法により試みようとするものである。電気化学的な電析法は結晶成長制御が通過電流密度の調節で簡単に行えるという原理的にも優れている方法であるが、電析可能な条件を見いだすためには多くの労力と時間を要する。本研究では、強磁性金属と非磁性金属との組み合わせによる多層膜及びその合金膜を電析法により製作を試み以下のような結果を得た。 1)強磁性多層膜の作製 通過電流のパルス波高値を変えることにより,強磁性Fe, Coと非磁性Cu, Ag金属等との組み合わせによる多層膜を各層の平均膜厚を原子オーダー単位で作製可能とした。 2)非平衡磁性合金膜の作製 Co-Cu, Co-Ag等の合金膜を多層膜作製時におけるパルス時間間隔をコンピューター制御により極端に短縮することにより、多層膜の各層の膜厚を極限的に薄くし多層化から固溶型合金に近い状態にまで近づけることはできた。低温および高温における磁性の測定を行い多層膜から非平衡合金に至るスーパーパラ磁性の変化を検討した。
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