1.30テスラの磁場中でFe-0.006mass%C合金を850、950および1050℃の各温度で、20min保持し、冷却後フェライト粒径を測定した。850℃では磁場中で等温保持を行うと、フェライト粒径はやや小さくなる。950℃では磁場の有無による差はかなり大きくなる。これは、磁場ありの試料ではフェライト単相での熱処理となり、粒成長が抑制されたためと考えられる。磁場なしではγ→α_mのマッシブ変態を経由するが、変態による細粒化は見られなかった。1050℃では磁場の有無にかかわらず、マッシブ変態が起こり、粒径に差異は見られなかった。文献では過冷度が小さく、磁場エネルギーが相対的に大きい場合には配向した変態組織になることが報告されている。そこで非常に小さな冷却速度で冷却したが、配向や粒径の変化は見られなかった。 2.Fe-C-X合金におけるα/γ相境界に対する磁場の効果を計算した。ここでXはMn、Si、Ni、Mo、およびCrなどの合金元素であり、Xの添加により磁気モーメントとキュリー温度が変化する。Coは磁場中でフェライトを安定化する効果が大きく、Mnは逆に不安定にする効果が大きい。Xの含有量により、外場の効果も異なってくるが、含有量が小さい場合はFeのみの効果を考慮すれば実用的には十分である。
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