研究概要 |
マルチチャンネル光検出器を設備備品として購入し、EPMA, XPS装置にアタッチメントを取りつけ、in-situで電子線、X線による試料からの発光を分光できるシステムを完成させた。このシステムにより、特に電子線によるμm領域の発光解析を試料の組成と関連づけて研究可能となった。その結果、(1)Sm, Eu, Gd添加のCdWO_4単結晶のX線励起ルミネッセンス(X-PL)と電子線励起ルミネッセンス(CL)測定を行ない、CdWO_4単結晶のみと比較する方法で添加イオンの効果を発光メカニズムとの関連で研究した。PLスペクトルの波形解析を行ない、従来報告されている2種類では分割できず、3成分必要なことがわかり、従来の発光種の解析が不充分であることを見出した。Sm添加CdWO_4単結晶におけるCLでは、2.22eVにピークをもつ長波長成分が優先されるという特徴を見出し、X線光電子分光法(XPS)で検討しSmが3価イオンとなり格子に歪を与えられ、酸素原子欠損の[WO_5]^<4->が生成することが原因と考察した。(2)上の結果をもとに、Smの酸化物、CdO, WO_3を混合したターゲットをパルスレザーアブレーション堆積法(PLD法)によりSm添加CdWO_4薄膜作製を行なった。Smイオンを添加することでCdWO_4結晶の格子間隔が減少し歪がかかることを見出した。3価のSmの発光が三種墳観測され、格子にSmが入っていること、Smの状態に3つ存在することを見出した。CdWO_4単結晶では、Sm添加してもX-PLには変化が無いのに対し、Sm添加CdWO_4薄膜では長波長成分が優先されるという特筆すべき結果が得られた。(3)CdOのかわりにCaOを用いて、CaO-WO_3の混合ターゲットのPLD法によりCaWO_4薄膜ができること、室温で可視光の発光が観測されることまとめた。薄膜中のCaとWの比を収束させた電子線で観則し、同じ点からのCLを同日時観測でき、該当研究の成果がさらに明らかになった。また、微粒子Siの作製に関する論文、酸化チタンに関する論文を数報報告した。発光に関する論文を作成中である。
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