PbNb_2O_6(PN)について、微細な粒子で構成された緻密な焼結体の作製と、圧電特性の制御を目的として、主にLa_2O_3の添加物効果を調べた。純粋なPNでは、菱面体晶から正方晶への相転移によって誘起される著しい粒成長のため、通常用いられる室温からの加熱では、微細な粒子で構成される緻密な焼結体が得られない。この相転移を避けるために高温相の粉体を用い、成形体を急熱する方法により、著しい粒成長のない焼結体が得られる。しかし、PNは通常の粒成長速度が大きく、微細な粒子で構成される緻密な焼結体が得られない。希土類元素酸化物を中心に、添加物の微細構造に及ぼす影響を調べたところ、La_2O_3が粒成長抑制に有効な添加物であることを見出した。Laをドープは、焼成中の粒成長を抑制する他、低温相から高温相への相転移時の顕著な粒成長も抑制することと、この相転移温度を低下させることを見出した。圧電特性に対するLaの効果として特筆できることは、Laドープは周波数定数と誘電率を上昇させることである。周波数定数の増加は、Laドープにより粒子が微細になり、ポアが少なく、クラックが殆どなくなったためと考えられる。誘電率の上昇は、Laがドナーイオンとして働いていることによると考えられる。LaとKを同時ドープした場合、粒成長速度が大きくなった。このことから、Laの単独ドープによる粒成長抑制がLaの粒界偏析であることが示唆された。また、Kの同時ドープにより誘電率の上昇を抑えることができることを見出した。以上の結果から、LaドープしたPNは低いQ_m値をもつため、広帯域の圧電素子としての基本材料となり得ることが分かった。特に、1200℃で焼成したPLN(x=0.05)は、周波数定数が2175kHzmm、誘電率が616、Q_mが147であり、良好な特性を示した。
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