研究概要 |
本研究は,構造材料に対する新しい表面改質技術技術として超微粒子積層法の開発を試みた.超微粒子積層法は,超微粒子を用いた新しいコーティング技術であり,ガス中蒸発と真空中蒸着を組み合わせた手法である.膜素材を不活性雰囲気中で蒸発し形成させた超微粒子は,生成室と真空排気されている膜形成室との差圧により発生するガス流によって基板まで搬送される.搬送した超微粒子は,基板上に積層され皮膜を形成する. 我々は,本法における成膜の支配因子として基板に積層させるときの超微粒子の搬送速度が重要だと考えた.超微粒子の搬送速度を高めるには,ガス流速を高めることが有効であり,ガス流速を超音速に加速させるノズルを設計した.ノズルはノズル内のガスの流れを一次元等エントロピ流れと仮定し設計しており,ノズル出口でのマッハ数は3.6とした. 超微粒子積層法の基礎的研究としてAlおよびTiの金属膜の形成を試み,本法の制御パラメータの影響を明らかにし,以下の知見を得た.(1)粒子径が膜性状に大きな影響を及ぼし,肥大粒子の生成の抑制によりTiおよびAlの金属膜の形成を可能とした.(2)成膜速度は,蒸発源に与える加熱電力量によって制御することが可能である.(3)皮膜の断面観察から成膜にノズル加熱が大きく影響を及ぼすことを明らかにした.(4)界面にビッカース圧子(荷重4.9N)を打ち込んだ結果,Al,Ti膜共にクラックは発生せず,基板と皮膜との密着性が高いことが確認された.本研究の成果により,本法の名称を超微粒子積層法から超音速フリージェットPVDと変更した.
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