研究概要 |
磁石材料に関与している研究者の間に「10年周期でより強力な永久磁石が登場する.」という言葉がある.現在,最強のNdFeBも開発されてから,10年以上たち,これに代わる,より強力な永久磁石の開発にしのぎを削っている.強力な永久磁石材料が発見されるたびに,エレクトロニクス部品の性能向上がはかられていることは周知の事実であり,また,日本人研究者がこの分野で果たした役割は非常に大きく,現在,磁石材料の製造量に関し,日本が諸外国を完全に圧倒していることも周知の事実である.日本が世界一の技術を誇れるのも,上記のように強力な永久磁石材料の開発競争において,常に諸外国より一歩先んずることができたことが,大きな要因の一つである.永久磁石(ハード磁性)材料には(1)一軸磁気異方性エネルギーが大きいこと,(2)キュリ-点Tcが高いこと,(3)単位体積あたりの飽和磁化が大きいことなどが要求される.従来,永久磁石材料の開発は,上記のような思想のもとに行われているが,近年,磁性材料にも,他の新素材の開発の場合と同様,製造プロセスからの高性能化が検討されはじめた.永久磁石材料の場合には,その組織を単磁区径以下の結晶粒にすることが夢であり,この夢を実現できるのがMA法である,本研究では,MA法による作製時に問題となる,いかにして試料に異方性を具備するかに関し,一応の成果を得た.
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