研究概要 |
一般に,金属間化合物は熱的に構造が安定であるため耐熱構造材料として期待されている.しかし,高温高強度であるが故に,熱間加工が困難であり,常温においても延性はほとんどなく,難加工材料とされている.出発材料を金属間化合物の組成を有する混合金属粉末とすれば,低融点側金属の溶解によって液相が生成し,固液相共存のスラリーとなる.そのスラリーに成形加工を施せば,金属間化合物を低温度・低成形力で成形することが可能と考えられる.そこで本研究では,Al_3Ni相が主組織となるAl-(40〜44)mass%Ni混合粉末を出発材料とし,混合粉末を種々の昇温速度で加熱し,金属間化合物組成となるスラリーの生成過程について調べた.その結果,低昇温速度ほど,低温度で液相が生成され,液相とNiとの反応における発熱量は高くなり,その凝固組織はAl_3Ni相が主となることが判明した.したがって,液相が生成し固液相共存のスラリーとなる.そのスラリーに成形加工を施すと金属間化合物を低温度・低成形力で成形することが明らかにした.そこで,得られた成形体の高温強度特性を検討した.燃焼合成反応終了後に成形を行なった成形体ではAl3Niの金属間化合物が主組織となり,高試験温度においても高強度を示す.また,燃焼合成反応前に成形を行なって得られる成形体は,共晶組織であるが,熱処理を施すと,金属間化合物組織となり,いずれも,耐熱材料として適当であることを見いだした.
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