研究概要 |
Fe-C,Fe-C-X(X=Si,Mn,Mg,S,Cu)系合金(Cmass%=4.2〜5.7,XmasS%=0.5,Smass%=0.05)を1650℃で溶解させた後,双ローラー装置により超急冷した。透過型電子顕微鏡で観察した結果、全ての試料にα鉄と非平衡Fe_7C_3相が観察された。Fe_7C_3相は,通常の単ロール法やガン法では観察されておらず,本装置による超急冷により生成したと思われる。しかしカーボン相はどの試料中にも生成していない。そこで,Fe-C-X系合金中に1650℃で気化する元素を添加したところ,水冷試料中に球状黒鉛が生成していることが確認された。気化元素の比較的大きな粒を添加した物と微粉を添加した物では生成した黒鉛球の大きさが異なっており,球状黒鉛の気泡による生成説を裏付ける結果がえられた。この試料を超急冷し,透過型電子顕微鏡で観察した結果,球状のカーボン相が生成していることが確認された。この球状のカーボンの多くは非常に微細な結晶相あるいはアモルファス相から構成されており,また,不安定で電子線照射により結晶型が変化する様子の物もある。微細な結晶相はリング状の電子線回折パターンを示す。その中に非平衡カーボン相と思われる微細な結晶が観察されたが,微細,微量のため,正確な同定は難しく,今後の課題である。
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