研究概要 |
流動層(径90mm,高さ400mm,パイレックスガラス製)を電磁誘導加熱用コイル(電源周波数4MHz、定格出力40kW)中に設置して電磁誘導加熱流動層コーティング装置を製作し、この装置を用いて鉄粒子表面にプラスチック膜を被覆した複合粒子を、さらにこれら粒子を用いてタイル状成形体を作成し、以下の結果を得た。 (1)複合粒子の作成実験とその性状評価: 1-1)プラスチック粒子として、エポキシ樹脂粒子を用いた場合、印加出力4kW以上で複合粒子が作成でき、印加出力10kW以下では、その粒径(または皮膜の厚さ)は印加出力の増加とともに直線的に増大する。また、複合粒子粒径の印加出力に対する増加傾向は鉄粒子の粒径が大であるほど著しい。さらに、粒径の広がりを表す幾何標準偏差は1.1〜1.2程度で、鉄粒子の粒径、印加出力に依存しない。1-2)2種類の粒径のエポキシ樹脂粒子を原料に用いた場合、複合粒子粒径の印加出力に対する増加傾向は原料粒子の粒径が大であるほど著しい。1-3)粒子径がほぼ同一のエポキシ樹脂粒子(粒径:22μm)とポリエチレン粒子(粒径:18μm)を用いた場合、ポリエチレン粒子の場合の方が複合粒子粒径の印加出力に対する増加傾向が著しい。 (2)複合成形体の作成実験とその性状評価:作成された粒子を成形用型枠に入れ、加熱成形機(ヒータプレス)を用いてプラスチックの融点近傍の温度で加圧成形した後、室温まで冷却し型枠から成形体(40×10×10mm)を取り出した。この成形体の密度、曲げ強度および圧縮強度を測定して以下の知見を得た。 2-1)本法により、鉄粒子とエポキシ樹脂、あるいは鉄粒子とポリエチレンとが均一に混合した複合材料を製造できる。2-2)コーティングプロセスにおいて電磁波の印加出力を変化させることでコーティング厚さが制御でき、結果的に複合材料の密度も制御できる。2-3)ポリエチレンを用いた複合材料では大きな圧縮荷重を加えた場合に塑性変形を抑制でき、純ポリエチレンよりも小さな歪みに抑えることができる。
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