研究概要 |
リチウム塩に希土類金属等の多価金属塩を共存させたポリマーゲル複合体,ならびにリチウム塩と非イオン性のセラミックスフィラーを分散させたポリマー複合体を合成し,それらの電解質挙動を調査した。複合体の組成とイオン構造,電気化学過程の相関を解析し,デバイス材料としての適性を明らかにした。以下の3課題を設定し研究を進めた。成果の大部分は別記リストの学会誌等で報告したが,さらに平成13年度開催予定の「電気化学大会」ならびに「2001年固体イオニクス国際会議」等で口頭発表する予定である。 1.異種カチオンを含むポリマー電解質複合体でのレドックス活性基の反応過程解析 網状骨格構造と極性官能基を側鎖および架橋鎖にもつポリマーマトリックスに,リチウム塩およびマグネシウム,希土類(Yb,Ln)等の多価金属塩を分散したポリマー電解質複合体を合成し,イオン構造と伝導挙動を解析した。異種カチオンの共存効果として,特に,価数の高いイオンが共存する系で特異的な伝導挙動が発現することを見出した。 2.ポリマー電解質複合体の電気化学特性に及ぼすセラミックスフィラー添加効果の解明 前項で使用したポリマーマトリックスに,リチウム塩と非イオン性の無機フィラー(複合酸化物)を溶解または分散したポリマー電解質複合体を合成し,無機フィラー添加の効果を検討した。この結果をもとに,ミクロ構造構築のための複合体組成の最適化を行った。最適化された組成の複合体について,分散した非イオン性セラミックスフィラーの反応性と電荷輸送特性を検討し,複合体膜中のLi^+イオンの輸送機構を提案した。 3.非水媒体中における遷移金属酸化物の酸化還元に及ぼす電解質イオン構造の影響 ポリマー電解質の高エネルギー密度二次電池への応用のために,遷移金属酸化物の酸化還元挙動に及ぼす電解質組成の影響を非水媒体中で調査した。電解質組成は固液界面での電荷移動過程に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。
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