研究概要 |
本研究は,化学修飾されたゲル膜の光応答機構の解明とマイクロ素子形成への応用を目的として行ったものであり,下記の成果を得た。 1)Nb_2O_5,ZrO_2-SiO_2系,強誘電体薄膜など光学・電子素子用に重要な薄膜について,光感応性ゲル膜の作製と微細パターニング条件を確立するとともに,生成する薄膜の特性評価を行った。 2)フェナントロリンによるアルコキシドの化学修飾,あるいは光重合性メタクリル基を有する三官能アルコキシドを原料とすることにより,光感応性SiO_2ゲル膜が得られることを見いだした。 3)位相マスク法および二光束干渉露光法を用いて,光感応性ZrO_2,PZT,あるいはPLZTゲル膜にBragg回折格子を形成するためのプロセスを検討し,得られる回折格子の回折効率を作製条件や形状との関係で評価した。特に二光束干渉露光法では,任意の周期をもつ回折格子のほか,より多様な形状の回折格子が作製できることを実証した。 4)二光束干渉露光法による回折格子の形成において,レーザ照射を二度行うことにより,格子型およびアイランド型の二種類の二次元回折格子を作製できることを示し,その特性を評価した。 5)光感応性TiO_2ゲル膜を作製する際,金属アルコキシドをβ-ジケトンとメタクリル酸で同時に化学修飾することにより,生成するゲル膜の感度と分解能が同時に向上することを見いだした。 6)β-ジケトンで化学修飾された金属アルコキシドの電子状態を非経験的分子軌道法を用いて計算し,その結果から求められる光吸収スペクトルが実測のスペクトルとよく一致することを明らかにした。 7)SnO_2コーティングガラス基板上にパターニングしたTiO_2膜を形成したバイレイヤー型光触媒を提案し,有機物の酸化分解およびメタノールからの水素生成に対して高い活性を示すことを明らかにした。
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