研究概要 |
1.希土類-イミン錯体触媒によるアミンの脱水素シリル化反応とイミンのヒドロシリル化反応:脂肪族の1級,2級アミンおよび芳香族1級アミンは触媒量の希土類-イミン錯体,[Yb(η^2-Ph_2CNAr)(hmpa)_n]の存在下にPh_3SiHと反応し,脱水素を伴ってアミノシランを高収率で与える。シリル化剤としてPh_2SiH_2やPhSiH_3を使用するとジアミノシランが主生成物となる。さらにPhSiH_3によるイミンの触媒的ヒドロシリル化反応を検討した結果,ケチミンは反応性が劣るものの,アルジミンは非常に容易にヒドロシリル化物を与える。機構的には[Yb]-Nと[Yb]-Hを共通の活性中間体とする触媒サイクルが推定された。これらの結果は強固な希土類-アミド結合が容易にシラノリシスされヒドリド種が再生できることを示し,希土類触媒では初めてのイミノ基の触媒的変換反応となった。 2.低原子価サマリウムによるアシルホスホナートと2つのカルボニル化合物との3成分カップリング反応:触媒量のSm金属やSmI_2によってアシルホスホナートとアルデヒドが反応してアシルオキシホスホナートが高収率で生成する。生成物アシルオキシホスホナートにさらに当量のSmI_2を作用させてアシルオキシ部位を還元的に脱離させると,共存する第二のアルデヒドまたはケトンと反応してオレフィン前駆体として有用なβ-ヒドロキシホスホナートが効率的に得られる。前者の反応はSm-P(O)(OR)_2を活性種とする分子間反応であり,後者の反応はラジカル機構で進行することを明らかにした。さらにこれら2つの反応を結合して,アシルホスホナートと2種類のカルボニル化合物の混合物にSmI_2を加える3成分カップリングでβ-ヒドロキシホスホナートを一段階合成する方法を開発した。
|