研究概要 |
船舶に代表される大型構造物の数値解析は有限要素法により行われているが,解の精度は分割メッシュの細かさに依存する.しかし,大規模な分割メッシュを用いた有限要素解析は大量な計算時間を必要とするため,実際的ではない.このような問題点を解決するために,ズーミング手法が利用されている.ズーミング解析には,ズーミング境界に境界力を与える方法と変位を与える方法があるが,処理の容易さから,境界変位を与える方法が一般的に用いられる.本研究では,境界力を与えることによるズーミング解析の精度向上を検討した.有限要素解析において,要素内部の応力値は精度よく求めることができるが,要素境界における応力値の精度は低い.この問題を解決するために,SPR法を用いることを検討した. 平面応力要素と板曲げ要素を中心として,SPR法を利用したズーミング解析の検討を行った.SPR法の精度は応力評価点の位置と数,近似関数に大きく依存することを調査・検討し,四角形双一次要素を用いた有限要素解析においては,2X2のガウス積分点を応力評価点とし,完全二次多項式をSPR法の近似関数として選択することにより,高い精度を有する応力の近似関数を求めることが可能になった. SPR法により求められた境界力を与えたズーミング解析を船体構造に適用した.要素数4万程度のバルクキャリア初期解析モデルの解析結果を基にして,高応力部を有する領域を含んだズーミング解析をおこなった結果,提案した応力型ズーミング解析は,従来から用いられている変位型ズーミング解析の2倍程度の精度を有することが示された.
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