研究概要 |
亜熱帯地方における遺跡地では、繁茂する亜熱帯性の植生の保全と管理が重要な課題の一つである。遺跡整備地では将来、史跡公園として活用するため、快適な樹林や広場が求められている。この研究では石垣島の国指定の中世城郭遺跡であるフルスト原遺跡を調査対象として、樹林管理と草地管理を検討した。 樹林管理では、密性している樹林の小径木を除伐し、中・大径木を保存して見通しのよい樹林地とすることが、史跡公園の利用からみて好ましいと考えられる。その際の立木密度は600本/ha前後とみなされた。しかし、除伐後は日照条件が良好になり、林床に下層植生が繁茂する傾向が認められ、つる植物や下層植生の刈り取り管理が必要にのることが示唆された。地表処理として、コーラル敷きとその付き固めの試験をさらに検討すべきであると思われた。 亜熱帯地方の遺跡整備地で、刈り取り管理が十分行き届かない状況では、植生再生力は大きく、再生植生は短期間で繁茂し、5ヵ月から1年で約1,000g/m^2から2,000g/m^2(生重量)の植生再生量があることが判明した。広場造成では、植生再生を抑制するには適度の刈り取り(最低年2回)が必要であると考えられる。さらに、植生の伐開、伐根の後十分な客土を施し、基盤を造成したうえで、セントオーガスチンなどの比較的草丈の低い生育旺盛な芝草を良好に生育させることによっても植生再生を抑制させることが可能と判断された。
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