研究概要 |
発光基質分子2-methyl-6-(4-methoxyphenyl)imidazo[1,2-a]pyrazin-3(7H)-oneのピラジン環と2-フェニル環との二面角を人為的に調節し、二面角が発光効率に及ぼす効果を検討した(Table 1参照)。その結果、二面角の増加とともに中性分子種を発光種とする水溶液中での発光効率が顕著に減少し、特に、蛍光効率の著しい減少が発光効率の減少を支配することが明かとなった。一重項励起効率に関しては、二面角に影響されず、5位へのアルキル基の導入により無置換のものよりも一重項励起効率が増加される結果となった。一方、同様な発光基質をDMF中で発光させた場合には、アニオン分子種が発光種となるが、上記二面角の発光効率に及ぼす影響は少なく、また、一重項励起効率・蛍光効率におよぼす影響も大きく無いことが判明した。発光分子種が中性種であるのかアニオン種であるのかにより二面角の影響が顕著に異なるのは、その蛍光効率に大きな差異があるためであるが、発光タンパク質の場合、発光種はアニオン種であるので、タンパク室内部でのcoelenterazineのピラジン環と2-フェニル環との二面角は、数倍の発光効率に影響を与えるものの、顕著な影響を与えるものではないことが明かとなった。
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