研究課題/領域番号 |
11660125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀尾 文彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (20165591)
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研究分担者 |
伊藤 浩行 近畿大学, 高血圧研究所, 教授 (60113148)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | アスコルビン酸 / アスコルビン酸欠乏 / 高血圧 / 血圧 / コラーゲン / 高血圧自然発症ラット / カテュールアミン / ビタミンC / カテコールアミン / 脳卒中 |
研究概要 |
我々の研究室でのみ繁殖・維持しているアスコルビン酸(AsA)合成不能高血圧自然発症ラット(SHR-od)を用いて、下記の研究成果を得た。 1、SHR-odにおけるAsA欠乏による血圧低下の機構 SHR-od(25週齢、雄、血圧約210mmHg)にAsA無添加飼料を与えて、AsA欠乏を誘発したところ、4週間頃より血圧の低下が観察され、7週間では血圧は110mmHgまで達した。 (1)睾丸動脈の壁厚は欠乏群で明らかに減少しており、この変化が高血圧の破綻に寄与している可能性が考えられた。 動脈壁の抵抗性には、動脈壁を構成している主要な分子の一つであるコラーゲン(III型、I型、IV型)が重要な役割を持っている。AsA欠乏群の睾丸動脈の電子顕微鏡像の結果から、動脈壁の平滑筋細胞間のマトリクスがAsA欠乏により激減しており、IV型コラーゲンの減少が推定された。AsA無添加食を与えて4週間の時点から大動脈のI、III、IV型コラーゲンα1鎖のmRNAレベルは低下し始め、7週間の時点では対照群に比べて有為に低下していた。 これらのことから、AsA欠乏によって動脈壁のコラーゲン量は減少し、動脈構造のリモデリングが起こっていると推定された。そしてその結果、SHR-odの高血圧の破綻が起こっていると考えられた。 (2)AsA欠乏による血圧低下の機構を考える上で、昇圧作用を持つノルエピネフリンおよびエピネフリンの合成がAsA欠乏により低下しているのではないかという可能性を考えた。AsAはドーパミンからノルエピネフリンを生成するドーパミンβ-ヒドロキシラーゼのコファクターである点からこの可能性に着目した。しかしながら、個体全体での合成量を反映するとされる尿中ノルエピネフリンおよびエピネフリン量は、AsA欠乏群でむしろ増加していた。また副腎の両物質の濃度もAsA欠乏群で上昇していた。これらの結果からは、AsA欠乏によってノルエピネフリンおよびエピネフリンの産生量が減少したことにより血圧低下が起こった可能性は低いと推定された。 2、AsA摂取の高血圧性血管病変の発症抑制効果の検討 高血圧症においてはヒトでもSHRでも、腎臓の動脈の形態変化が起こり、血管機能の障害により腎糸球体の機能が低下したり腎機能の損傷が起こる。SHR-odにおいて、AsA無添加飼料を4週間摂取した場合には高血圧には変化が観察されなかったが、腎臓細動脈の高血圧性病変(内膜肥厚、中膜肥厚、血管壊死)の発症が促進されていた。 3、AsA合成不能脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP-od)の作出 SHR-odに脳卒中易発症性のSHRSP脳卒中発症遺伝子を導入することにより、脳卒中とSHR-odより重篤な高血圧を発症するSHRSP-odを作出することを試みた。SHR-od(雌)とSHRSP(雄)とを交配して得られた子孫(雌)をSHRSP(雄)に戻し交配した世代の中で、od遺伝子に関してod/+(+は野生型)の雌を選抜した。od/+と+/+の判別は、ラットの尾より得たgenomic DNAを鋳型にしたPCRによって行った。そして、このod/+個体をSHRSP(雄)に戻し交配を、8回繰り返してcongenic系統の作成を完了した。現在、このヘテロ(od/+)個体同士を交配して、AsA合成不能ラットを作成している。すなわち、SHRSP-od作出の最終段階を行っている。
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