研究概要 |
自発摂餌を指標にして魚類の食欲の変動を引き起こす要因とその作用機構を明らかにするため,平成11年度は体外環境要因(光)および体内環境要因(生物時計)に関する研究を行った。これらの結果を踏まえ,平成12年度は体外環境要因に餌を加えることにより自発摂餌のリズムについての総合的な作用機構に関する研究を行った。 1.供試魚として24尾のニジマス(平均体重105.52±4.04g)を用いた。自発摂餌装置を設置した水槽(46L)にそれぞれニジマスを1尾ずつ入れて実験を行った。同調要因の呈示方法としては,(1)明暗周期(12時間明期:12時間暗期)と恒常摂餌(MM),および(2)餌周期(12時間摂餌期:12時間絶食期)と恒明(LL)の2方法を用いた。(1)と(2)は分離して呈示し,各要因の効果を比較した。その結果,ニジマスは明暗周期(1)の場合も餌周期(2)の場合もいずれの周期に対しても同調し,明期あるいは摂餌期に活発な自発摂餌を示した。しかし,自発摂餌の活動パターンは明暗周期と餌周期とでは異なり,明暗周期の方が餌周期に比べて明確な同調が認められ,特に明期開始直後と終了直前に顕著な活動差が生じた。したがって,ニジマスの自発摂餌では餌も重要な同調要因であること,しかし,同調の仕方は光とは異なることなどが明らかとなった。 2.上記実験で摂餌期に同調する自発摂餌を確認した後,恒明(LL)+恒常摂餌(MM)条件にし,エサに同調するフリーランリズムを調べることにより生物時計の確認実験を行った。その結果,餌周期呈示後、約95%のニジマスがフリーランニングリズムを示し、餌周期に同調する生物時計の存在が示唆された。
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