研究課題/領域番号 |
11660220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
宇山 満 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (90176735)
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研究分担者 |
浦出 俊和 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80244664)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 養蚕業 / 産業機能 / 国際シルク市場 / 中国 / イタリア / 原料調達 / 蚕糸流通 / 政策介入 / 加工過程の外部化 / 需要の価格弾力性 / 中国生糸 / 関連産業 / 品質評価 / 輸入繭 / 輸入生糸 |
研究概要 |
わが国養蚕業は、近年衰退の一途をたどり、産業としての機能を失いつつある。この産業機能の停止による影響を考えることが本研究の目的であった。まず、既存の統計データを再整理し、わが国養蚕業衰退の現実を、データで明らかにし、その衰退要因について分析を行った。国内の養蚕業の衰退は、輸入繭もしくは輸入生糸の増加をもたらすと考えられたが、近年では、繭・生糸の輸入はむしろ減少しており、絹製品など二次製品の輸入が増加し、国内生糸生産量や絹織物産地における絹織物生産量の著しい減少をもたらしていた。すなわち、養蚕業の産業機能停止は、製糸業の衰退だけでなく川下の絹織物産地にまで影響を及ぼしていることが明らかになった。その一方、製糸業や絹織物産地が輸入繭や輸入生糸を用いた形で存続しうるのか、という意思決定の問題に注目する必要があったため、最大の生産国・輸出国である中国の現状について、山東省と浙江省で聞き取り調査を行った。現在、中国においては、蚕糸の流通改革が行われており、政府の中央管理体制から各省の個別管理体制へと移行しつつある。そのため、各省によって価格差や品質格差は存在するものの、傾向としては生産性重視から品質重視へと変わってきている。このことは、中国産生糸輸入の増加要因となり得るが、中国の産地の方は欧州市場を重視しているのが現状であった。わが国の製糸業・織物業の存続可能性は、欧州の市場動向に依存するのではないかと推測された。また、養蚕業は無くなりながら、原料を輸入する形で関連産業を生き残らせ、さらに蘇らせたイタリアを中心とした産業組織・企業群の基本戦略を学ぶことは、わが国関連産業へ示唆を与えてくれると考えられた。そこで、欧州諸国における原料輸入戦略について聞き取り調査を実施し、製糸業や絹織物産地が、輸入繭や輸入生糸を用いた形で存続しうる可能性について政策的示唆を得ている。
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