研究概要 |
畑地用水計画の重要な基礎諸元である基準蒸発量は,気象データからペンマン式により算出される。ペンマン式の計算に利用できる気温,日照時間等を測定している観測所は全国で約840カ所あり,アメダスの運用開始以降約20数年間の膨大なデータの蓄積がある。その中から目的のデータを取り出すため,本研究ではハードディスク上にデータベースを構築した。対象とする観測地点,気象要素,期間を選択することにより,期間内平均値,合計値そしてペンマン式により基準蒸発量を計算して,結果をデータファイルへ出力し併せて等値線図ないしプロット図として表示できるようにした。なお,データ抽出描画プログラムはVisual Basicで記述した。 一方,蒸発散量を推定するにはペンマン式により計算した基準蒸発量に作物の種類と生長段階により異なる係数すなわち作物係数をかける必要がある。我が国では信頼の置ける作物係数のデータが少なく,きめ細かな用水計画を行うには,データ蓄積を図る必要がある。研究代表者は今までに種々の圃場で微気象法により蒸発散量の測定を行ってきており,その結果を作物係数として整理した。また,純放射量推定式を実測値を元に検討するために,長期間の放射収支観測体制を整えた。日照計の機種の違いによる日照時間の差異については検討結果を報告したが,純放射量推定式については現在データ蓄積中である。 本報告書には,研究期間中に発表した論文等を大きく4つに分類し,アメダスとペンマン式関係,圃場における微気象測定,畑地用水量,気象環境関係その他別に掲載している。本研究で得られた研究成果で未発表のものは順次学術雑誌等へ投稿してゆく予定である。
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