研究概要 |
南西諸島の島々にはさんご礁および琉球石灰岩にような石灰質堆積物が広く分布している。これらの石灰質堆積物はセメンテーションの発達した固結層と砂礫状の未固結層を含み,基礎工学上問題の多い特殊な地盤を形成している。これらの地盤における杭基礎においては未固結層を除いて、十分な層厚の固結層のみが支持層として利用されている。本研究では琉球石灰岩層を支持層として利用するため,さんご礁および琉球石灰岩の地盤特性の起源,堆積過程等を概観し,未固結の砂礫層の力学特性と鋼在との摩擦特性を明らかにすることの必要性を示した。砂礫層として沖積層におけ石灰質シルト,石灰質砂,琉球石灰岩砕砂および軽く固結した石灰砂に注目し、三軸圧縮試験を実施し,力学特性を明らかにしている。鋼材との摩擦特性に関しては石灰質砂および琉球石灰岩砕砂について直接せん断試験により定圧試験と定体積試験をおこない,石灰質堆積物のせん断強度および石灰質堆積物と鋼材の摩擦強度を比較した。石灰質堆積物は,圧縮性が大きく,またせん断に伴う堆積収縮が顕著である。このような破砕性地盤では,杭打設時の体積収縮に伴う垂直応力の低下に原因して周面摩擦力が低下することが示された。周面摩擦力は石灰質堆積物と鋼材の定体積直接せん断試験結果に基づいて評価することが可能である。また,打ち込み杭の周面摩擦を増加させるためにはグラウトが効果的であることが示唆された。
|