研究概要 |
地方都市近郊における小規模住宅団地の立地誘導手法を開発するために,その立地構造を明らかし,それに対応する誘導手法の提案を行った。事例としたのは青森県八戸市と隣接する青森県三戸郡階上町である。 立地構造を明らかにするために,立地に関わる空間的要因と住宅取得者の住宅立地要請構造の抽出を行った。立地に関わる空間要因としては,農地転用と開発許可・建築許可・既存宅地の位置的特徴を八戸市の市街化調整区域において考察した。それによると,農地転用は,住宅目的での平均転用面積は5条許可が狭く,線引き境界から1km未満に約2/3の転用が分布している。開発許可・建築許可・既存宅地については,開発規模は開発許可が最も大きく,既存宅地が小さくなっている。また,小学校からや線引き境界からの距離では建築許可で遠距離な開発が若干多くなっている。 住宅取得者の住宅立地要請構造としては,八戸市の市街化区域・市街化調整区域,未線引き都市としての階上町でアンケート調査を行った。住宅を取得する上で重視したい条件(理想条件)では,全体にインフラの整備と周辺環境が重視されているが,市街化調整区域居住者では他と比較して地価が安いことをあげる回答が多い。実際に重視した条件(現実条件)では,市街化調整区域居住者でインフラや周辺環境を重視しない傾向がみられる。 以上より,地方都市近郊の小規模住宅団地には,立地構造としては供給者の属性の違いによる立地地点の相違が,住宅取得者の立地要請構造としては市街化調整区域居住者による低地価指向が明らかにされた。そのため,立地誘導をはかるためには,市街化区域内の住宅供給の低廉化とともに,市街化調整区域内で発生する需要のコントロールが重要となる。
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