研究概要 |
セイタカアワダチソウSolidago altissimaは他感作用物質として、ポリアセチレン系化合物cis-dehydromatricaria ester(cis-DME),trans-dehydromatricaria ester(trans-DME),cis-matricaria ester(cis-ME),trans-matricaria ester(trans-ME),cis-Lachnophyllum ester(cis-LE),methyl 10-[(2)-2-methyl-2-butenoyloxy]-(2Z,8Z)-2,8-decadiene-4,6-diynoateを根茎から分泌し、他の植物の生長を抑制する。この現象から、これら化合物を多量生産し、除草剤として利用開発しようとした。 1 含有化合物の抽出と結晶採取:本植物の根茎乾燥粉末にMeOHを加え抽出した。抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離した。その結果、trans-DME、cis-DMEの赤色結晶を得た。前者は少量のため^1H-NMRスペクトルで確認出来ただけだった。また、methyl 10-[(2)-2-methyl-2-butenoyloxy]-(2Z,8Z)-2,8-decadiene-4,6-diynoateを^1H-NMRスペクトルで混合物として確認した。 2 毛状根の誘導と増殖:本植物の葉、茎にAgrobacterium rhizogenesを接種し、不定根の誘導を行った。その結果、たくさんの不定根は得たが増殖が悪く、不定根の増殖条件を検討したが、生長する条件を見出すことは出来なかった。根の量が少量であったために形質転換した毛状根かどうかの確認を検討中である。 3 カルスの誘導と増殖:Murashige and Skoog(MS)基本培地に2,4-Dichlorophenoxyacetic acid1ppm,Benzyladenine2ppmを添加した培地でカルスを誘導した。カルスの増殖培地をMS基本培地にホルモンの種類とその濃度を検討した。その結果Naphthaleneacetic acid1ppm,Kinetin1ppmで良く増殖することを認めた4週間培養したカルスのcis-DMEを測定したが、痕跡程度に認められただけであった。 4 野生植物の有効成分の含有調査:野生植物は生育時期によって含有する含量は変化すると考えることから、5月から12月まで毎月本植物の根茎を採取し、cis-DME含量を調査した。その結果、10〜11月に最も高くなり、最低であった5月の約15倍を示した。
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