研究課題/領域番号 |
11660264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
畜産学・草地学
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
本江 昭夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30091549)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 上顎切歯の退化 / 採食戦略 / サラブレッド / ホルスタイン / サフォーク種 / 採食ボード / 破断強度 / 漉き取り戦略 / ヒツジ / オーチャードグラス / チッソ施肥 / ペレニアルライグラス / トールフェスク / リードカナリーグラス |
研究概要 |
反芻動物は上顎の切歯が退化しているが、この特徴が採食戦略のうえではどのように優れているのかを明らかにするために、平成11年7月にサラブレッド種の去勢雄3頭とホルスタイン種の雌の乾牛3頭を使用して、平成12年7月〜8月にサフォーク種の去勢雄のヒツジ3頭を用いて実験を行った。家畜に採食させた牧草は、平成11年はペレニアルライグラス(PRG)の葉身、トールフェスク(TF)の葉身、リードカナリーグラス(RCG)の出穂茎の3種類であり、これらを15個の1方向ロードセルに取り付けた。平成12年はN施肥量が0、10、20kg/10aのオーチャードグラス(OG)の葉身を3方向ロードセル5個に取り付けた。これらの牧草を家畜に採食させ、その時の荷重の大きさを測定した。 1gのDMの採食に使用した荷重は、PRGの葉身とTFの葉身を採食させた場合、ウシで22.9〜27.9kgであったが、ウマで17.7〜23.6kgであった。低密度区のヒツジで75.2kg、高密度区のヒツジで41.2kgであった。1バイトに使用した荷重の平均値は、PRGの葉身とTFの葉身を採食させた場合、ウシで12.5kg、ウマで19.4kgであり、ウマの方がウシよりほぼ55%大きい値を示した。ヒツジでは2.8〜3.3kgであった。これらの値から体重に対する割合を求めると、ウシで1.9%、ウマで3.6%、ヒツジで8.7%であった。ヒツジについて、1つのポイントで観察した合計荷重の最大値は、向側への力を使って採食した時は2.01〜2.26kgであったのに対して、手前への力を使って採食した時は2.63〜2.65kgであった。この結果は、ヒツジは向側への荷重を使った場合、下顎切歯を効率よく使い、そのために小さい荷重で牧草を採食していることを示していると思われる。 ウシは長い舌を使って、牧草を巻きつけるようにして口の中に入れる。RCGの硬い出穂茎がある程度口の中に入ってきた場合でも、上顎の切歯がないので、RCGの硬い出穂茎を残して、PRGの柔らかい葉だけを漉き取るようにして食べることができる。一方、ウマは唇の動きだけで牧草を選別するので、口の中に硬い出穂茎が入ってきた場合、それを上下の切歯で噛み切るしか方法がない。そこで、固い出穂茎を避ける戦略として、毛を漉き取るという意味から、反芻家畜の採食行動をComb-out strategy(漉き取り戦略)と命名し、近いうちに発表する予定である。
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