研究概要 |
[目的]最近,食と生体防御に益々,興味関心が高まってきた.本研究では生体防御に関わる腸管免疫賦活化作用を発揮する乳酸菌DNAモチーフについて,その腸管免疫調節機構を解明し,免疫賦活化DNAモチーフを有する乳酸菌を用いた機能性食品開発のための基礎を築くことを目的とした. [方法](1)乳業用乳酸菌DNAの腸管パイエル板細胞に対するリンパ球幼若化活性およびCD69発現誘導を解析した.(2)乳酸菌およびDNAのパイエル板における取り込みをフローサイトメトリーおよびレーザー顕微鏡を用いて解析した.(3)初生仔ブタ腸管よりTotal RNAを抽出し,RACE法を用いて腸管免疫に重要なサイトカイン,IL-7のクローニングを行った.(4)活性DNAによるマウスパイエル板細胞におけるサイトカイン産生誘導を調べ,活性DNAによる腸管系サイトカインネットワークの制御を解析した. [結果](1)乳酸菌由来活性DNAはマクロファージ,樹状細胞,B細胞,CD8+T細胞にCD69の発現を誘導した.(2)乳酸菌および乳酸菌由来DNAは速やかにパイエル板に浸潤し,消化され免疫担当細胞と接触した.(3)ブタIL-7cDNA塩基配列を明らかにした.(4)活性DNAモチーフフはパイエル板細胞からのIL-7,IL-12,IL-18,IFN-γの産生を増強した. サイトカイン産生細胞は単一集団ではなく,B,樹状細胞など複数の細胞であった.本研究成果は,腸管系サイトカインネットワークを制御するDNAモチーフを有する乳酸菌を用いた,感染防御作用を発揮する"生体防御食品"の開発の基礎を築くものと期待できる.
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