研究課題/領域番号 |
11670106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
重信 弘毅 東邦大学, 薬学部, 教授 (50012654)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | マウス心筋 / 交感神経α-作用 / エンドセリン / アンジオテンシンII / 心内膜内皮細胞 / プロスタグランジン / 活動電位 / Na^+,Ca^<2+>交換反応 |
研究概要 |
今回の科学研究費助成を受けた2年間の研究成果は次のように要約出来る。 1)マウス心室筋におけるα-刺激による陰性変力作用のメカニズムが、Na^+,Ca^<2+>-交換電流の促進にあることを明らかにした。これは他の動物種では認められない特殊なメカニズムではなく、マウス心筋の活動電位の特殊性に起因するものと考えられる。即ち、Na^+,Ca^<2+>-交換電流の逆転電位は大略-30mV近辺に存在し、これより陽性の電位領域ではCa^<2+>を細胞内へ流入させる方向に回転し、これより陰性の電位領域ではCa^<2+>を細胞外へ流出させる方向に回転する。通常の動物の心筋で認められる明確なプラトー相は0mV近辺の陽性電位領域にあるのに対して、この形のプラトー相はマウス心筋には存在せず、電位は再分極直前の陰性の電位領域に比較的長く留まる。従ってマウスでは、α-刺激によるNa^+,Ca^<2+>-交換電流刺激効果は、Ca^<2+>を細胞外へ流出させる方向に促進される為に陰性の変力効果を与えるものと考えられる。 2)前述の交感神経α-受容体刺激効果の生後発育に伴う変化と同様に、エンドセリンIとアンジオテンシンIIの変力作用に関しても、生後発育に伴う変化が認められた。即ち、新生児期にはこれらのペプチドが陽性変力作用を示すが、成熟心室筋では陰性変力作用を現す。両反応共に、受容体の種類そのものには変化はない(それぞれET_AとAT_1)。 3)アセチルコリンは、他の動物種とは異なり、マウス心房に対してはわずかな陰性変力作用に続いて顕著な陽性変力作用を発現するが、これが心房内膜の内皮細胞に作用してプロスタグランジンを遊離させ、それが陽性変力作用を及ぼすことを実証することが出来たが、このことは血管内皮細胞とは対照的に研究が大幅に立ち遅れている心内膜内皮細胞の機能的役割の研究の大きな手掛かりを与えるものと考えられる。
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