研究課題/領域番号 |
11670156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
田辺 康人 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第4研究部, 研究副部長 (10311309)
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研究分担者 |
垣塚 彰 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第4研究部, 研究部長 (80204329)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン / 転写因子 / 誘導 / P19細胞 / 脊髄 |
研究概要 |
中枢神経系を構成する個々の神経細胞のアイデンティティーが、その神経細胞に発現する細胞内シグナル分子の作用によりどの様に確立されるかは、神経科学諸分野の根幹を成す問題であり、脳機能解明の為のきわめて重要な一側面を担うものである。様々な転写因子群が、その様な細胞内シグナル分子のなかにおいて、多くの場合、最も重要な位置を占める。MNR2及び他の運動ニューロン転写因子群(例えば、LIMホメオボックス遺伝子)のネットワークが、どの様にして、運動ニューロンに現れる様々な性質の発現(例えば、その神経伝達物質や軸索投射パターン)を調節するのか、一個の転写因子の細胞内シグナル分子としての作用から一個のニューロン特異性確立に至るまでの遺伝子群の全体像を明らかにすることを目的とした。この様にして、中枢神経系を構成する個々の神経細胞のアイデンティティー確立機構を解析するアプローチは、脳の生理的機能の理解のみならず、個々の疾患に特徴的な神経細胞に選択的な"死"をもたらす神経変性疾患の発症機構解明といった、脳の病態像を理解する上でも、基本的な枠組みを与えると考えられる。例えば、家族性筋萎縮性側索硬化症における原因遺伝子の一つとして同定された変異SODl(Super Oxide Dismutasel)や、家族性球脊髄性筋萎縮症を発症する変異アンドロゲン核内受容体が、どのようにして運動ニューロン選択的に神経変性、神経細胞死を引き起こすのか、現在全くもって明らかとはされていない。この様な、細胞内シグナル分子としての転写因子の研究を通じて、運動ニューロンのアイデンティティー確立機構を明らかにすることが、様々な運動ニューロン疾患群の発症機構解明の一端につながると考えられる。 本研究を通じて、(1)MNR2による運動ニューロン発生誘導機構が、脊髄のみならず、他の中枢神経系の領域でも働くことが示された。(2)in vitroにおいて運動ニューロンの性質を持った細胞株を樹立する為の宿主細胞としてP19胚性癌細胞株は適当でなく、他のES細胞などの使用が示唆された。(3)更に、成熟した運動ニューロンの細胞特異性が維持されている機構の一つとして、運動ニューロン発生期に細胞特異性確立に働いた転写因子群が関与している可能性を示唆する事が出来た。
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