研究課題/領域番号 |
11670159
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
|
研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
増田 彰 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 主任研究員 (50157202)
|
研究分担者 |
高橋 隆 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 部長 (50231395)
樋田 豊明 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (80250249)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 肺癌 / p27^<KIP1> / 小細胞癌 / 細胞周期 / アポトーシス |
研究概要 |
我々はほぼ全例の小細胞肺癌において、予想に反してp27^<KIP1>が高い発現をしていることを見出していた。そこで本研究は、小細胞肺癌におけるp27^<KIP1>高発現の分子機序の解析とその特徴を利用した治療法への応用を目指した以下の検討を加えた。その結果、1.小細胞肺癌のp27^<KIP1>の発現は細胞培養下のみならず、scid mice移植腫瘍においてもG1/G0期に限局して発現していることを確認し、培養細胞における基礎的な実験が、最終的な治療法の開発に役立つことを期待させた。2.アミノ酸などの栄養素の欠乏のみならず、より生体内の環境に近い低酸素状態においてもp27^<KIP1>が強く誘導されることを見出した。3.誘導されたp27^<KIP1>はサイクリン-サイクリン依存キナーゼへの結合能やキナーゼ阻害作用などの生化学的な活性を有し、細胞周期の停止に役立っていることが示唆された。4.p27^<KIP1>が強く誘導される典型的な細胞株は低酸素状態などのストレスに対して耐性を示したが、誘導されにくい非典型的な細胞株は高感受性を示し、アポトーシスに陥った。5.p27^<KIP1>が強く誘導される典型的な細胞株にアンチセンスDNAオリゴマーを導入したところ、約70%の細胞ヘオリゴマーの導入が見られ、この細胞をイソロイシンを含まない培地で培養すると濃度依存的にp27^<KIP1>の蓄積の低下が見られ、アポトーシスに陥る細胞の割合が増加した。一方、同様の塩基組成を持つミスマッチオリゴマーにはこの様な効果は認められなかった。 以上の結果から、小細胞肺癌のp27^<KIP1>高発現の生物学的意味が明らかとなり、p27^<KIP1>に対するアンチセンスDNAオリゴマーによる肺小細胞癌治療への応用の可能性が示唆された。in vivoの腫瘍に対するにオリゴマーの導入効率の向上、及び他の治療法と連動した効果的な導入時期の選定などが今後の課題である。
|