研究概要 |
1 これまでの報告により,ヒト正常骨由来骨芽細胞株(SV-HFC)が骨芽細胞としての性質を充分に有していることは明らかである.今回,SV-HFCがペリサイトマーカーを有していることが示された.さらに,ペリサイトマーカーとしての平滑筋アクチンの発現は,デキサメタゾン添加による石灰化同様,TGF-β1あるいはレチノイン酸添加によって抑制された.このことから,SV-HFCにおいては,骨芽細胞への分化とペリサイトへの分化が同じ生化学的メカニズムによって調節されていることが示唆された.また,種々の血管研究におけるペリサイトのソースとしてSV-HFCは有用と考えられた. 2 モノクローナル抗体3G5は,血管構成細胞のなかではペリサイト特異的で,in vitroでのペリサイトのマーカーとして有用である.本研究では,カルポニン陽性ペリサイトは毛細血管壁に連続性に分布し,3G5陽性ペリサイトは非連続性に分布しており,これはペリサイトのhetercgeneityを示すもので,in vivoでは,ペリサイト一般のマーカーとして,3G5に比ベカルポニンがより優れていると考えられた.3G5陽性ペリサイトが毛細血管の屈曲部および分岐部に多く分布したことは,これらのベリサイトが萌出型の血管新生に関与する可能性を示唆する.ペリサイトのhetercgeneityに基づく機能分担を解明するとすれば,3G5は非常に有用なマーカーと考えられた.
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