研究概要 |
副甲状腺機能亢進症の原因として副甲状腺の過形成と腫瘍が知られているが,その区別は容易ではない。そこで腎不全を原因とする二次性副甲状腺機能亢進症20例の摘出副甲状腺組織を用い,MENIの原因遺伝子として同定されているmenin遺伝子の変異についてエクソン2〜10についてPCR-SSCP解析を行った。その結果すべての症例において変異は認められなかった。 Zollinger-Ellison syndromeを併発したMENIの1症例でエクソン3にW198Xの突然変異が認められた。また,menin遺伝子座のある11q13のLOH解析を行ったがこの領域の欠損はまったく認められなかった。さらに,アンドロゲン受容体遺伝子とPGK遺伝子のヘテロ接合性を利用し,クロナリティー解析を行ったところ,75%の症例でクロナリティーが認められた。これらのクロナリティーとc-PTHレベル。腫瘍レベル,及び病理学的特徴との間に相関性は見られなかった。 以上の結果より二次性甲状腺機能亢進症の発症には,副甲状腺の過形成から腫瘍への移行がモノクローナルに起こるが,menin遺伝子の異常は、腫瘍化の初期には関与していないことが推測された。
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