研究課題/領域番号 |
11670198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
上田 善道 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50271375)
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研究分担者 |
南部 静洋 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20237639)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 骨肉腫 / 免疫回避 / Fas ligand / Fas / アポトーシス / 細胞傷害性T細胞 |
研究概要 |
ヒト骨肉腫の発育・転移形成において重要な役割を演ずると推定される腫瘍細胞の免疫回避機構に関し、腫瘍細胞におけるFas発現・機能異常、Fas ligand(Fas L)発現形質獲得の関与と、その修飾による腫瘍発育と転移の制御法の確立を目的とし研究を遂行し、以下の成果を得た。 1.ヒト骨肉腫細胞株(HOS,OST,Saos2)及びヒト骨肉腫腫瘍組織3例におけるFas及びFas L mRNA及び蛋白発現がRT-PCRならびにwestern blot法で検出された。発現されたFas及びFas L mRNAと蛋白には構造的異常は見られなかった。 2.骨肉腫組織では膜型及び可溶型Fasが検出されたが、骨肉腫細胞3株とも可溶型Fasの発現が優勢で、膜型Fasの発現はOSTで検出されるのみであった。抗Fas抗体を用いた蛍光抗体法によりOSTは細胞膜にFasの局在を検出したが、他の2細胞株では検出されなかった。免疫組織化学によりヒト骨肉腫腫瘍組織22例中17例(85%)で骨肉腫細胞におけるFasの発現が観察された。陽性例中11例(65%)は膜型が優位、6例(35%)では発現は細胞質内に局在していた。 3.骨肉腫に発現されるFas Lは膜型で、可溶型は検出されなかった。抗Fas Lモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学によりヒト骨肉腫腫瘍組織20例中17例(85%)で骨肉腫細胞におけるFas Lの過剰発現が観察された。発現強度、発現細胞頻度と化学療法に対する感受性や予後との明かな関連は認められなかった。 4.骨肉腫腫瘍細胞に発現されるFas Lの機能が、Fas感受性ヒトTリンパ球(Jurkat cell)に対するアポトーシス誘導により示された。このアポトーシス誘導は抗Fas L中和抗体(NOK1)で抑制され、Fas/Fas L系を介したものであることが確認された。 5.アドリアマイシン心筋症の発生にFasの過剰発現を介したアポトーシスの亢進が関与していることを明らかにした。 平成11、12年度の研究結果を総合すると、ヒト骨肉腫腫瘍は腫瘍発生早期からFas L発現に形質を獲得し細胞傷害性Tリンパ球をカウンターアタックすると共に、Fas発現の低下や局在異常、可溶型Fas発現などを介し免疫監視機構から回避していることが示唆された。
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