研究概要 |
ヒトBMP-5,6の5′側上流領域に結合する転写調節因子を明らかにするために、BMP-5遺伝子5′側-500/-750およびBMP-6遺伝子5′側-50/-150のDNA配列を合成し、核抽出蛋白を用いたgel shift assayにて検討した。さらに、BMP-2,3,8についても遺伝子5′側上流領域のクローニングを行った。プライマー伸長法による転写開始部位の決定、luciferase遺伝子と結合したコンストラクトを作製しtransfection studyを行ってプロモータ活性を確認した。各遺伝子プロモータの詳細について引き続き検討を行っている。 さらに、BMP-6に関しては前立腺癌における遺伝子発現について検討した。Northern blotを行い、BMP-6mRNA発現レベルを検討するとともに、ヒトBMP-6遺伝子プロモータのtransfection studyを行った。培養細胞におけるBMP-6遺伝子5′側上流領域のCpGメチル化を解析するとともに、前立腺癌組織についても、BMP-6発現とCpGメチル化とを検索した。各前立腺癌培養細胞によってBMP-6発現レベルが異なり、CpGメチル化によってBMP-6遺伝子発現レベルが制御されることを示した。前立腺癌症例では、BMP-6は低分化型腺癌に高発現で、他臓器の転移浸潤部位で発現レベルが高い傾向を認めた。原発巣の腫瘍に見られたBMP-6遺伝子プロモータのSp1結合配列周辺のCpGメチル化が、浸潤転移病巣においては脱メチル化を示した。 以上の成果は、英文誌Journal of Bone and Mineral Researchに報告し印刷中である。また、成果の一部は第88回、第89回日本病理学会総会ワークショップ、第21回米国骨代謝学会議、第23回IAP総会シンポジウムにて発表した。
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