研究課題/領域番号 |
11670254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
金子 明 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60169563)
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研究分担者 |
美田 敏宏 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80318013)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | malaria / CYP2C19 / dihydrofolate reductase / proguanil / mass drug administration / Pacific islands / Vanuatu / malaria eradication / マラリア / ヴァヌアツ / マラウイ / MSP-1 / クロロキン(CQ)耐性増加 / pfcrt / Proguanil / 薬剤耐性マラリア / cycloguanil / DHFR / poor metabolizer / 太平洋島嶼 / 熱帯熱マラリア / 三日熱マラリア / dihydrofolate reductace / サクログアニール / プログアニール |
研究概要 |
太平洋島嶼マラリアの起源は、その人類定住過程と密接に関係する。観察される当地域の人類、原虫さらに媒介蚊多型は、原初の定住様態を反映しつつ、個々の地域の生態・文化的特質および確立されたマラリア流行性による選択・修飾を受けた結果と考えられ、現在マラリア対策に様々な影響を及ぼす。 Cytochrome P450(CYP)2C19に関するpoor metabolizer(PM)の割合は白人およびアフリカ人では3-6%、アジア人では13-23%と報告されていたが、我々はヴァヌアツのメラネシア人集団においてはPMが70%と極めて高いことを見出した(Kaneko et al.Lancet 1997)。更にmt-DNA変異と検討した結果、CYP2C19-PMはポリネシアにおいても広く分布し、ニューギニアにおいてはより高頻度かもしれないことを予測した(Kaneko et al.Pharmacogenetics 1999a)。Proguanil(PG)は1940年代に開発され、現在atovaquoneとの合剤(Malarone)が薬剤耐性マラリアに対する薬剤として注目されている。PGはprodrugであり、CYP2C19による代謝産物cycloguanilの原虫DHFRに対する作用がPG治療効果の本命とされ「CYP2C19およびDHFR遺伝的変異は負のPG治療効果に帰結する。」が従来の仮説であった。我々はPG治療後マラリア患者のPG代謝の程度はCYP2C19に関する遺伝子型と強く相関することを示した(Kaneko et al. Pharmacogenetics 1999)。しかし従来の仮説に反して、治療効果はCYP2C19遺伝子型ともDHFR遺伝子型とも相関しなかった。この結果より我々はPG自体にも固有の抗マラリア作用があるとの対立仮説を提唱した(Kaneko et al. J Infect Dis 1999)。 1991年アネイチュウム島の全島民700人を対象に、雨季直前の9週間に限定した抗マラリア剤集団投薬を実施した。これにより蚊体内ステージ原虫を一定期間排除できれば蚊の寿命が5週以内であることからマラリア伝播を断ち得ると考えた。更に、ペルメスリン処理蚊帳の島民への配布および年1回の再処理、Anopheles farauti生息場所への幼虫嗜好性魚導入を行った。その後9年間にわたる住民マラリア罹患率の定期的調査より、住民参加が効果的に組織されれば、孤立した島嶼におけるマラリア伝播はこれらの組み合わせ戦略で継続的に抑制され根絶に至らしめることが可能であることを示した(Kaneko et al. Lancet 2000;356:1560-64)。
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