研究課題/領域番号 |
11670297
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 北海道大学 (2000-2001) 山口大学 (1999) |
研究代表者 |
吉山 裕規 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10253147)
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研究分担者 |
高田 賢蔵 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30133721)
柳井 秀雄 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (60220175)
中澤 晶子 山口大学, 医学部, 教授 (40053053)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | EBウイルス / ヘリコバクター・ピロリ / 胃がん / シグナル伝達 / ヘリコバクター・ビロリ |
研究概要 |
EBウイルス(EBV)はBurkittリンパ腫や上咽頭癌などの原因ウイルスであるが、発がんに至るにはウイルス単独ではなく、コファクターが必要であると考えられている。近年、原発性胃がんの10%近い症例で腫瘍細胞中にEBVの潜伏感染が確認され、一部の胃がんの発生にEBVが関与していると考えられている。我々はEBV関連胃がんの発がんのコファクターとして、ヘリコバクター・ピロリ菌が関与しているのではないかと考えた。そこで、前年度はEBV関連胃がんと非関連胃がんで癌周囲の胃粘膜のピロリ菌感染性変化を観察し、EBV非関連胃がんの16例中10例(62.5%)に対し、EBV関連胃がんでは8例中7例(87.5%)の高率でピロリ菌感染による慢性萎縮性胃炎が癌の発生母地となっていることを明らかにした。このことから慢性胃炎の場で、EBVとピロリ菌が共同して発がんに働いていると考えられた。今年度はピロリ菌の胃粘膜上皮に対する作用を研究した。まず、ピロリ菌のウレアーゼ活性が菌の胃粘膜への感染定着に重要であることを明らかにした。次に、ピロリ菌との接触により起こる胃上皮細胞のアポトーシス誘導について研究した。ヒトの胃上皮細胞をピロリ菌と混合培養するとアポトーシスを起こすが、ウレアーゼ活性によって産生されるアンモニア単独では、たとえ30mMのアンモニアが存在してもアポトーシスは起こらない。しかし、tumor necrosis factor-α(TNF-α)が混合培養中に共に存在すると、著明なアポトーシスの誘導が起こる。これは、ピロリ菌が胃内で産生可能な4-8mM程度のアンモニアとTNF-αの存在下でアポトーシスの誘導が可能であった。これらの結果から、ピロリ菌が産生するアンモニアが、胃上皮細胞がピロリ菌と接触して細胞内シグナル伝達の変化をきたした結果、胃上皮が産生するサイトカインによるオートクラインなアポトーシスを促進すると考えられた。
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