研究概要 |
HHV8の個々のウイルス特異的蛋白質を解析するため、単クローン抗体の確立を試み、いくつかのクローンの樹立に成功した。そのうちのひとつ、B332、がORF K8.1にコードされた分子量38Kdの糖蛋白(gp38)を認識することが判明した。次に、B332とgp38の反応性をウエスタンブロット法で調べたところ、gp38はTPA刺激後48時間で出現することが判明した。BG-3(HHV-8持続感染細胞)をTPA処理したものとB332で蛍光抗体法を行うと、gp38は細胞質と細胞膜に見い出された。 TPA処理したBG-3の上清をウイルス液として各種細胞株に感染させ、HHV-8特異的抗原に対する単クローン抗体(潜伏抗原、前初期抗原、初期抗原及び後期抗原に反応するもの)を用いてそれらの抗原発現を指標にウイルスの感染能を調べた。細胞株として、MT4,P3X63Ag8.653,Sp2/0-Ag14,HL-60,U937,THP-1,Molt3,Molt4,HSB2,Ramos,H9,TaY,LCL-TAS,B95-8,Raji,K562,D-2A,SHM-D33,HPB-ALL,HUT78,MDCK,U373MG,Hep2,B95a,HEL,CV-1,A549,Vero,293,293T,Balb/3T3,L929,104,NBL-7,P3U1,PAI,MRC-5SV1TG1,VSMC,BHK-21,COS-1の40種を調べたが、如何なる抗原発現も検出できなかった。 K8.1遺伝子を293細胞とCV-1細胞にトランスフェクトしてその安定発現細胞を樹立した。この細胞をtargetにして、KS患者血清、抗K8.1単クローン抗体と健常人リンパ球とでそのADCC(Antibody Dependent Cell-mediated Cytotoxicity)能を調べたところ、患者血清を用いると、弱いながらもADCC活性が見られた。
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