研究概要 |
千葉県内の自動車交通量の多い地区に位置する小学校の4年生のうち,保護者の承諾が得られたものを対象に,ピークフローおよび1秒量の自己測定とともに血清IgE,ダニ特異的IgE抗体の測定,さらに血清中の好酸球特異顆粒蛋白であるECP, EDN濃度の測定を行い,自動車排出ガスの影響を疫学的に検討した。肺機能測定は,学佼ごとに21〜23日間,起床時と就寝前に自己測定を実施し,検査前72時間平均の大気中噌浮遊粒子状物質及び二酸化窒素濃度との関連を検討した。 平成11〜13年度の3年間で,ピークフロー・1秒量の自己測定は549名,採決は580名について実施し両者の結果が得られたものは480名である。ピークフロー値および1秒量の自己測定は,気道閉塞の客観的に評価する上で有用な方法であることが示された。特に,喘息・喘鳴症状を有するもの,血清総IgEまたはEDN高値のもの,ダニ持異的IgE抗体陽性のものは,大気汚染レベルの増加により肺機能値が有意に低下するものの割合が高かった。特に,喘息,喘鳴及びアレルギー症状がなくても血清IgE値・EDN値が高いものは大気汚染濃度と肺機能値との有意な関連を示すものが多く,観察期間中の喘息発症率も高かったことから,大気汚染物質に対する感受性が高いことが示唆された。 以上より,喘息・喘鳴症状を有するもの,血清IgE, EDNが高値のものは自動車排出ガス大気汚染物質であるSPM及びNO_2への曝露により気道閉塞が起こりやすいことが明らかとなり,気道過敏性に影響を与える可能性が示唆された。今後は,ディーゼル排気微粒子を含めた微小粒子の影響とアレルギー素因との関連性についてさらに検討を進める必要がある。
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