研究概要 |
本課題研究では,ワークロード研究に関連する装置およびコンピュータプログラムを整備し,2つのワークロード関連の実験を実施した.さらに,複数指標の統合化の概念についてまとめた. 装置整備では,単に市販の機器を揃えただけではなく,生理信号計測器,被験者モニターのためのビデオ観察装置および課題作業提示用コンピュータを機能的に配置・接続し,ワークロード実験実施における効率化とデータ取得時の信頼性を確立した. プログラムの開発においては,精神課題作業プログラムの作成と整備,生理信号解析プログラムの開発と整備を行った.作業課題プログラムでは,被験者の反応(正誤)により難易度が適応的に変化する暗算作業のプログラムおよびパターン2型反応を誘発することができる変則鏡映描写課題のプログラムを作成した.さらに,これらをシナリオに沿って実行できるSIMPLEというプログラム群を構成し,そこに気分および主観的ワークロード評価用のプログラムを組み込んだ.このSIMPLEを用いることにより,安静記録,課題作業提示,気分評価,ワークロード評価という一連の作業が一元化でき,さらに得られた作業成績および主観反応の集計がほぼリアルタイムにできる実験システム(ソフトウェア)が構築できた.生理信号解析プログラムでは,多くの種類の生理信号に対して,それぞれ特化した処理プログラムを作成し,特に心拍変動性のスペクトル解析についてはHEART SYSTEMとしてプログラムおよびそのマニュアルを整備した. 実施された実験では,まず,ワークロード評価手法を香りなどの快適環境要因の評価に用いるという,快適性の間接的評価実験を行った.ワークロード研究で培われた精神作業(作業そのもの)や心理生理学的反応に関する知見が快適性評価の研究に役立つものであることが窺われた.生理反応の課題特異性については,従来の報告を追試した結果を得た.
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