研究概要 |
MN式血液型のM対立遺伝子について,M^GとM^Tに細分類できることを見出し,対立遺伝子特異的逆PCR法を開発して(遺伝子内)ハプロタイプをより簡便に検出する方法を考案した。さらに遺伝子全域のシークエンスを行って6種以上の対立遺伝子に分類しなおし,MN式血液型の分子進化について考察するとともに,新たな分類法に従って逆PCR法を応用したハプロタイプ分析法の開発について検討した。 ABO式血液型では,主要対立遺伝子,A^1,B,O^1の型を決定する配列がエクソン6と7に位置し,従来法ではそれぞれ別に検査して型を推定していた。本研究では,逆PCRを応用した対立遺伝子特異的増幅法,制限酵素断片長多型法,シークエンス解析法を用いて,この遠隔部位にある多型領域の同時分析に成功した。さらにvariant alleleであるA^2 alleleの解析への応用を検討したが,遺伝子型がA^2B型でO対立遺伝子を含まなかったので意義は乏しかった。 Se式血液型の日本人に見られる対立遺伝子は,分泌型1種類(Se1)と非分泌型2種類(sejとse^<fus>)で,se^<fus>は,Sec1 pseudogeneとSe1 geneのfusion geneであると報告されているが,シークエンス解析により報告されている塩基配列との差異を見出し,fusion gene形成機序に新たな知見を加えた。この結果を元にallele specific PCR amplification法による代表的な3種の対立遺伝子の簡易検査法を開発し,さらに(遺伝子内)ハプロタイプを決定するための逆PCR法を応用した分析法を開発した。その過程で、最初のPCRで増幅するDNA断片の末端を酵素で平坦化させることによって、分子内ライゲションが効率良く起こり、逆PCR法による遠隔多型領域の同時分析法の精度と汎用性を高めることができた。
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