研究概要 |
エオタキシンは好酸球に特異的に発現するCCR3の特異的リガンドであり、アレルギー性炎症の特徴である選択的好酸球集積をよく説明するケモカインである。我々はエオタキシンに対するモノクローナル抗体を樹立し、高感度のELISAを樹立し、以下を明らかにした。 1)IFN-γはエオタキシンの産生を完全に抑制する(Miyamasu, M. et al. 1999. Int. Immunol. 11 : 1001-4)。2)皮膚線維芽細胞はエオタキシンの主要な産生細胞である(Miyamasu, M. et al. 1999. Cytokine 11 : 751-8)。3)気管支喘息患者の誘発痰ではエオタキシンが増加し、臨床的指標と相関する(Yamada, H. et al. 2000. Allergy 55 : 1-6)。4)IFN-γはmRNAの半減期に影響せず、pre-translationalにエオタキシン産生を抑制すると考えられた(Miyamasu, M. et al.投稿準備中)。 以上の結果から、エオタキシンはアレルギー性炎症の治療標的分子であることが明らかになった。IFN-γの抑制の分子機構の解明がアレルギー疾患の新しい治療戦略に直結する可能性が示唆された。5)また、好酸球におけるケモカイン受容体の発現を検討し、構築的なCCR3発現の他、CXCR4誘導が一定の状況下で誘導されることを明らかにした(Nagase, H. et al. 2000. J. Immunol. 164 : 5935-43 ; Nagase, H. et al. 2000. J. Allergy Clin. Immunol. 106 : 1132-9)。 6)Th2特異的ケモカインであるTARC,MDCの発現を検討し、喘息患者気道上皮がTARCを強く発現していることを明らかにした(Sekiya, T. et al. 2000. J. Immunol. 165 : 2205-13)。
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