研究課題/領域番号 |
11670499
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70235282)
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研究分担者 |
平松 直樹 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
堀本 雅祥 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70214286)
伊藤 敏文 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ninjurin / 接着分子 / 肝癌 / 治療法 / 診断法 |
研究概要 |
Ninjurinは、神経細胞軸索傷害後にその発現が著明に上昇することよりクローニングされたhomophilicな接着因子であり、軸索の修復において重要な役割を果している。正常な肝組織においても強く発現していることが報告されているが、我々はラット肝再生モデルにおいて増殖後の分化や増殖停止の段階で、発現がさらに亢進していること、ヒト肝癌組織で発現低下していることを報告した。そこで我々は肝癌細胞株Huh7にNinjurinを過剰発現させた過剰発現細胞株を樹立し、Ninjurinの発現亢進が肝細胞におよぼす影響を検討した。過剰発現細胞株と対照株を用いて(1)hemocytometerを用いた細胞増殖の解析(2)FACScanによるcell cycleの解析(3)Western blot法にてcell cycle関連蛋白の発現の解析を行った。過剰発現細胞株は対照株に比べ(1)細胞増殖が低下し,doubling timeが約2倍に延長した。(2)FACScanによる検討ではcell cycle上G1期からS期への移行がブロックされS期が45%から25%へ低下した。(3)cell cycle関連蛋白の検討では、CDK2、CDK4、CDK6の蛋白発現が低下し、cyclinD1、Eの蛋白発現レベルには変化は見られなかったがcyclin Aの発現レベルは低下した。またCDK inhibitorの検討ではp16、p27の発現レベルに変化はみられなかったが、p21の発現の上昇が見られた。Ninjurinは、細胞周期を進行させる因子の発現低下と停止因子の発現亢進を誘導することで細胞増殖抑制効果を示すが、肝癌組織において発現低下していることで、肝癌組織において見られる癌細胞増殖活性の亢進に寄与していると推察された。以上のことから、細胞・細胞間の接着に関与するNinjurin蛋白の発現を誘導することで肝癌の進展を抑制することが期待されるが、本法は既存の治療方法とは異なる新たな肝癌に対するアプローチとなり得るものと考えられた。
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