研究概要 |
1.大腸菌およびBacillus Brebis菌を用いたH.pylori特異的抗原蛋白の合成及び精製に関する基礎的研究 大腸菌による蛋白合成及び精製をおこなった.H.pyloriのSS1株の熱ショック蛋白(HSP)A,B,ウレアーゼAB,HSP70,カタラーゼ遺伝子を発現ベクターに組込んだ後に大腸菌に形質導入し組換え蛋白を産生させた.粘膜免疫の抗原として使用するため,エンドトキシンを含まない純粋なH.pylori特異的蛋白を精製する必要があるため,次に前述のH.pylori特異蛋白DNAを組み込んだ蛋白発現用ベクターpNU212をBacillus Brebis菌に挿入して形質転換する事により,蛋白発現させることを試みたが,形質転換効率が悪く,現在も検討中である. 2.rCTBをadiuvantとした抗H.pyloriワクチンの感染阻止効果についての研究 rCTBのadjuvant作用についてその最適量を決定するため,抗原としてH.pylori菌体超音波破砕物を使用し、rCTB量を10,50,100μg/マウスと変えてC57/BL6マウスに毎週計4回経口投与した.血清IgG抗体価,消化管液中IgA抗体価はrCTBの用量依存性に上昇した.また,すべてのマウスで活性型IgEは認められなかった. 最適量の抗原をワクチンとしてrCTBとともにC57/BL6マウスに経口投与し,その後,チャレンジテストとしてH.pyloriS S1菌株の生菌をC57/BL6マウスに経口投与1ヶ月後胃を採取してH.pyloriの感染の有無・炎症の程度を形態学的,免疫組織学的に確認し,ワクチン投与群と非投与群の間で比較検討した. 3.H.pyloriのDNAplasmidを用いた抗H.pylori粘膜免疫誘導に関する基礎的研究 H.pyloriの特異抗原DNAを,真核細胞での発現plasmidに組み込んだ.このplasmidをマウスに皮下投与し,血清抗体誘導の有無を測定した.それぞれでHpylori特異的IgGの誘導が確認された.さらに,全身および粘膜における免疫の誘導を試みた.血清中H.pylori特異的IgGと消化管内腔洗浄液中H.pylori特異的IgAの誘導が確認された. 4.rCTBをadiuvantにしたワウチンをヒトへ発展させるための準備的研究 rCTBの安全性について1)培養細胞培養液中に投与することによって発育に対する影響を調べ,2)モルモット結紮腸管内へ投与してその粘膜刺激性を検討し,3)高等動物へ経口・経鼻投与しin vivo,in vitoroでの安全性を検討した.その結果,CTBには細胞障害作用は見られなかった.
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