研究概要 |
1.LTB4受容体発現CHO細胞の蛍光色素標識条件の最適化. 蛍光色素CMFDA4μMまたはCMTMR2μMにてCHO細胞の十分な蛍光標識が可能であった.この条件で蛍光標識されたLTB4受容体発現CHO細胞は,ケモタキシスチェンバーを用いたLTB4に対するケモタキシスアッセイにおいて非標識LTB4受容体発現CHO細胞と同等の遊走能を示した. 2.薬剤の気管内投与によるマウスの肺内好中球集積とその再現性に関する検討. マウス肺における好中球集積モデルとしてLTB4,ブレオマイシン,シリカの気管内投与を行った.LTB4投与4時間後では気管支肺胞洗浄液(BALF)好中球分画>10%が約2割,ブレオマイシン投与24時間後では好中球分画>50%が約5割の個体でのみ認められ,再現性が不十分であった.シリカ投与でのBALF好中球分画は,BALFにシリカが回収される場合では,24時間後に40-80%に著増したが,シリカが回収されない場合は好中球増多を示さない.即ち投与薬剤が喀出され肺内に沈着しないことが再現性不良の原因であった.シリカはBALFでの回収の有無から肺内沈着の有無が判断可能で気管内投与の薬剤として適している. 3.シリカ気管内投与モデルでのCMFDA標識LTB4受容体発現CHO細胞のin vivoケモタキシスアッセイ. シリカ気管内投与20時間後のマウスに,CMFDA標識LTB4受容体発現CHO細胞及びCMTMR標識対照CHO細胞を尾静脈から静注,その4時間後にBALを行ったが,BALF中にCMTMR・CMFDA標識細胞共に検出されなかった.LTB4受容体発現CHO細胞が肺胞内に浮遊せず肺内毛細血管や肺胞上皮に接着している可能性を考え,肺組織の切片を作製し組織学的に蛍光標識細胞の検討を行ったが確定的な結果は得られなかった.
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