研究概要 |
樹状細胞(DC)は生体で最も強力な抗原提示細胞であり,免疫の初期応答において中心的役割を担っている.しかし,肉芽腫形成にDCが関与しているか否かは解明されていない.そこで,本研究では肉芽腫形成におけるDCの役割を解明することを目的とした.BCGによって惹起されるラット肺肉芽腫モデルを作製し,ラットDC特異的抗体であるOX62陽性細胞を用いて肉芽腫内のDCの分布を免疫組織学的に検討したところ,多数のOX62陽性細胞が肉芽腫周囲に浸潤していることが明らかとなった.また,これらのOX62陽性細胞は,T細胞,マクロファージに特異的な表面マーカーは発現しておらず,DCと考えられた.さらに,肉芽腫肺からOX62陽性細胞を単離したところ,B7-1やB7-1などのadhesion moleculesを強く発現し,allogeneic mixed lymphocyte reactionにおいて強い抗原提示能を示し,IL-12p40のmRNAを発現していた.また,PPD特異的T細胞に対して,外来性の抗原の添加なしで強い増殖を誘導し,肉芽腫内のDCはBCG由来の抗原ペプチドを表出していると考えられた.以上より,DCはその強い抗原提示能を介して,肺肉芽腫形成に積極的に関与している可能性が示唆された.
|