配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
肺胞水分再吸収機序を研究した.1.β-交感神経刺激薬による肺胞水分クリアランス亢進:β1-交感神経刺激薬は肺胞II型上皮細胞のcAMPを上昇させ,肺胞水分再吸収およびナトリウムイオン輸送を亢進させた.高濃度β2-交感神経刺激薬はβ1-受容体を介してβ2-効果を減弱させた.2.虚血再潅流肺傷害:ラットで肺胞水分クリアランスを測定する実験モデルを作成した.ラットの虚血再潅流傷害肺では再潅流後1,3日で上昇し,7日後に水分クリアランスは回復した.虚血再潅流傷害肺における肺胞水分クリアランスの上昇はプロプラノロールで抑制されることにより内因性カテコールアミンによると考えられた.肺組織と培養肺胞II上皮細胞のαrENaCのmRNA(RT-PCR法)のには有意差がなく,肺胞水分クリアランスの亢進にはαrENaCのmRNAの関与は少ない.肺虚脱によるナトリウムイオン輸送と肺胞水分再吸収能力は減少し,その減少には活性酸素が関与した.3.高低濃度酸素肺傷害:高濃度酸素肺傷害ではβ1-交感神経刺激薬はβ2-交感神経刺激薬と同じく肺胞水分クリアランスを亢進させた.低濃度酸素暴露では,内因性ノルアドレナリンが分泌され,肺胞水分クリアランスは亢進した.この状態でβ受容体機能は温存された.4.肺手術侵襲が肺胞水分クリアランス機能に及ぼす影響:手術侵襲後2週間は肺胞水分クリアランスは不変であるが,2,4週間目には肺胞水分クリアランスは九進した.αrENaCの発現が亢進していること,ナトリウムチャンネルの機能亢進が阻害薬使用の結果確認されたことより,ナトリウムチャンネルを介する肺胞水分クリァランスが亢進した.また,ヒト手術後残存肺では肺胞II型上皮細胞が過形成され,その結果肺胞水分クリアランスが亢進したことが示唆された.肺胞水分再吸収機序の研究は多くの肺傷害において重要である.
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