研究課題/領域番号 |
11670609
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 恒夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80200658)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / ラフト |
研究概要 |
アミロイドβ蛋白(Aβ)の脳内沈着はアルツハイマー病(AD)の中核をなす病理所見であり、その産生・沈着仮定の解明はADの治療に結びつく重要な課題である。従来Aβが細胞内で産生されることは確定的な事実としてわかってはいたが、どの細胞内小器官で産生されるかは判然としていなかった。その理由のひとつとして、Aβを変性剤で抽出した分画中に探そうとしたことがあげられる。事実最近、変性剤に不溶性の画分(ラフト)中にAβが見出されたという報告が散見される。しかし、これらの報告はいずれも培養細胞や齧歯類の脳をもちいた実験結果であり、実際のAD脳の病理をどれほど反映しているかは不明である。そこで本研究は人の脳を用いてラフト画分を精製し、その中に含まれるAβを定量する事によって、Aβの産生・沈着に於けるラフト画分の役割を検討した。対象として、AD脳および非痴呆加齢脳、ならびにオランダ型家族性脳内出血脳をもちいた。オランダ型家族性脳内出血症はAβの前駆体タンパク質の点突然変異によって生じる脳血管アミロイドーシスがその主たる病変だが、脳実質にもAβが沈着し、かつその程度も様々なことから脳内へのAβの沈着過程を考察する上で有用と考えた。実験は凍結脳を変性剤の存在下で破砕し、スクロースによる密度勾配遠心法によってラフト画分を得、ウエスタンブロッティング法によりAβを同定した。その結果(1)Aβ沈着の軽度の例でもラフト画分中にはAβが存在する、(2)ラフト画分にはAβの主要な分子種であるAβ40とAβ42の両者が存在する、(3)Aβはモノマーとしてだけではなくダイマー、さらにオリゴマーとして検出される、(4)オランダ型脳出血例にはADにくらべて長さの短いAβ(truncatedAβ)が観察される、ことが判明した。以上の結果を考慮すると、脳内Aβはラフト画分から沈着を開始し、脳内に凝集することが示唆された。
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