研究概要 |
マウスを用いてヒト平滑筋ミオシンに対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作成し,ヒト平滑筋ミオシンに特異的に反応するモノクローラル抗体(抗SM-MAb)を精製してその有用性を発表した(Circulation Vol.94,1996)。この抗SM-MAbがラットの大動脈平滑筋と特異的に反応することを免疫組織染色にて確認し,実験的にラットの大動脈解離を作成して、このラットに^<125>Iで標識した抗SM-MAbを投与し、各臓器組織1gあたりの^<125>Iのカウントを比較しオートラジオグラフィによるイメージングを行った。大動脈の解離部のカウントは正常部に比べ高値でオートラジオグラフィ上、解離部に^<125>Iの強い集積を認める大動脈解離の画像の作成に成功した(第60回日本循環器学会総会,第61回日本循環器学会総会,第36回日本核医学会総会、第44回日本心臓病学会総会)。次にシュワルツ法を用いて、フラグメント化した抗SM-MAbを^<99m>Tcで標識し、実験的大動脈解離ラットに投与し,シンチカメラでstatic収集とSPECT像の撮影をい,体内動態解析と大動脈のオートラジオグラフィを施行した。大動脈解離部のカウントは正常部に比べ6時間後に高値で、オートラジオグラフィ上、解離部に^<99m>Tcの強い集積を認めた。シンチグラフィでは大動脈解離部に一致した^<99m>Tcの集積像をin vivoラットで画像化することに成功した(45回日本心臓病学会[Young Investigator's Award],第62回日本循環器学会総会,第18回国際脈管学会,Journal of Cardiology Vol.31,1998;The Lipid 第10巻1999年-動脈硬化病変の画像診断)。これらの基礎的検討で解離性大動脈瘤の新しい特異的画像診断法となることが証明された平滑筋免疫シンチグラフィを臨床応用するため,免疫組織染色にてこの抗SM-MAbがヒトの動脈に特異的に反応することを確認した。同時に群馬大学医学部倫理委員会の審査規定に従い、確認試験、純度試験、無菌試験、エンドトキシン試験、ウサギによる発熱性物質試験等の安全性試験を行い、同委員会に申請する臨床試験の資料を準備中である。
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