研究課題/領域番号 |
11670683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新宮 哲司 広島大学, 医学部, 助手 (20263684)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2000年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | thrombospondin 1 / 動脈硬化 / アポトーシス / p38 MAPK / Akt-1 / p42 / 44 MAPK / thrombospondin1 / 細胞内情報伝達系 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
平成11年度において、マウスThrombospondin(TSP)1cDNAより作製した発現ベクターを用いて、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞およびウシ大動脈内皮細胞に導入し、stable transfectionによるクローン化を試みたが、TSP1導入により細胞死が誘発されクローン化が不可能であったことを報告した。そこで、平成12年度にはtransient transfectionによる実験系の確立とTSP1蛋白添加実験によるアポトーシス誘導の再検証とその細胞内情報伝達系の検討を行った。Transient transfectionにおいて、遺伝子導入に煩雑でないCa-P、リポフェクチンおよびリポフェクタミンの3方法を試みた。いずれも導入はされるが、血管内皮細胞においてCa-Pで約5%、リポフェクチンで約10%、リポフェクタミンで15〜20%の導入効率であった。アガロース電気泳動でDNAの断片化を認めたものの、非導入細胞の影響が大きく、コントロールの非導入細胞と比べ結果に有意な差が認められなかった。従って、導入実験はアデノウィルスベクターを用いた方法に変えることとし、組み換えアデノウィルスを作製中である。 TSP1蛋白添加実験により、アポトーシス誘導の再検証を行った。アガロース電気泳動DNAの断片化を認め、Burton変法によるDNA断片の定量で、TSP1は濃度依存性(5μg/ml(約10nM)でmax)に血管内皮細胞にアポトーシスを誘導させた。その細胞内情報伝達系として、研究代表者らが既報したoxysterolの血管内皮細胞アポトーシス誘導作用に関わる細胞内情報伝達経路の一つであるp38MAP kinase活性に注目した。5μg/ml TSP1はp38MAP kinaseを活性化させ、そのピークは2時間であった。この活性はp38MAP kinaseの阻害剤であるSB203580により有意に抑制された。また、増殖系の細胞内情報伝達経路として、p42/44MAP kinaseおよびAkt-1についても検討を行った。p42/44MAP kinase、およびAkt-1いずれも、5μg/ml TSP1添加により活性化の変化を認めなかった。また平成11年度の報告で、p42/44MAP kinaseとp38MAP kinaseとのクロストークを示唆させる結果を示したが、SB203580により特異的な変化を認めず、p42/44MAP kinaseとp38MAP kinaseとのクロストークの仮説は否定された。以上より、これまで明らかになったことは、TSP1による血管内皮細胞のアポトーシス誘導にp38MAP kinaseの活性化が一部関与している事が明らかになり、増殖系の情報伝達系であるp42/44MAP kinaseおよびAkt-1には有意な影響を及ぼさないことが明らかになった。TSP1の細胞表面受容体であるCD36およびインテグリンとp38MAP kinaseとの関連性についての実験計画は現在進行中である。
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