研究課題/領域番号 |
11670687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平野 勝也 (2000) 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80291516)
周 応畢 (1999) 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80294916)
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研究分担者 |
西村 淳二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90237727)
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80291516)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | ミオシン / 脱リン酸化酵素 / 調節サブユニット / 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞 / Ca^<2+>感受性 / 細胞増殖 / 細胞骨格 / 血管平滑筋 / 血管緊張 / 血管構築 |
研究概要 |
血管緊張は平滑筋ミオシン軽鎖のリン酸化により調節され、このリン酸化のレベルはリン酸化酵素と脱リン酸化酵素のバランスで決定される。また、非筋細胞の運動やアクチン細胞骨格の形成もミオシン軽鎖のリン酸化により調節されている。最近、ミオシン脱リン酸化酵素がクローニングされたが、脱リン酸化酵素の生理的役割については不明な点があった。本研究では、まず、ブタ腎動脈から作製したTritonX-100スキンド標本を用いて、130kD調節サブユニットMYPT1による平滑筋収縮制御機構を明らかにした。MYPT1の種々の領域を欠損する変異体を細菌発現系を用いて作製し、Ca^<2+>が引き起こす収縮に及ぼす影響をブタ腎動脈スキンド標本を用いて解析した。血管標本をMYPT1^<1-633>(N末端1-633残基)で3時間前処置しておくと、Ca^<2+>収縮は増強され、収縮のCa^<2+>張力関係は左方に偏位した。この収縮増強作用は、触媒サブユニットとの結合領域を欠損しても認められたが、酸性アミノ酸集積領域(領域297-374)を欠損すると消失した。逆にMYPT1^<297-374>だけでも収縮増強作用を認めた。MYPT1^<1-374>は、300nM Ca^<2+>によるミオシン軽鎖リン酸化(22%)と収縮(最大収縮の35%)をそれぞれ36%と92%に増強し、一方、Ca^<2+>濃度を10^<-5>Mから0Mに下げた際に生じる弛緩反応を抑制した。すなわち、MYPT1のN末端領域は、脱リン酸化酵素を阻害することにより平滑筋収縮を増強し、この作用には酸性アミノ酸集積領域が重要であることが明かとなった。次いで、抗MYPT1抗体を用いた解析を行い、血管内皮細胞には平滑筋と同様のミオシン脱リン酸化酵素が発現することを明らかにした。内皮細胞は細胞間接触の形成により増殖を停止するが、蛍光免疫染色解析により、MYPT1は増殖停止に伴い細胞内局在が変化することが明かとなった。すなわち、増殖期にはMYPT1はストレスファイバーに添って分布するが、増殖を停止した細胞では細胞膜直下に分布した。さらに、内皮細胞からcDNAライブラリーを作製し、MYPT1をクローニングしたところ、内皮細胞には平滑筋と同一のMYPT1が発現することが明かとなった。平滑筋収縮のみならず、非筋細胞の細胞骨格も同様の機構で制御されていることが示唆された。
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