研究課題/領域番号 |
11670692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小川 久雄 熊本大学, 医学部, 教授 (50177135)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 急性冠症候群 / tissue factor / tissue factor pathway inhibitor / 血小板凝集能 / 心事故 / 予測因子 / 組織因子 / 外因系凝固インヒビター |
研究概要 |
急性冠症候群における組織因子(tissue factor:TF)および組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor:TFPI)の関与について臨床的および病理学的に検討した。血小板の凝集塊を小凝集塊、中凝集塊、大凝集塊に分けて測定できるレーザー散乱法による粒子計測法を加えた血小板凝集能測定装置が開発され、急性冠症候群の病態を血小板の活性化の面から検討した。不安定狭心症患者では安定労作狭心症患者や対照患者に比べTFが上昇していた。さらに急性冠症候群患者の冠動脈硬化内膜にTFがマクロファージに一致して発現しておりプラーク破綻後の血栓形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。TFPIには遊離型とリポ蛋白結合型があるが、プロテアーゼ活性は遊離型が高い。不安定狭心症患者からの末梢血レベルの検討の結果、遊離型のTFPIが上昇していることを証明した。組織学的にも動脈硬化組織標本においてTFPIがTF発現領域に一致して発現していた。血小板凝集能に関する検討では、中および大凝集塊では差がないものの小凝集塊の形成は急性冠症候群で増加していた。本研究においてはTFや血小板凝集能と予後についての検討も行った。急性冠症候群において血中TFが高値でありそのレベルが高いほどその患者の予後が悪く心事故が起こりやすいことを証明した。血小板凝集能では小凝集塊の増加の著しい患者ではその後の心事故の多いことを示した。以上のことより急性冠症候群ではTF、TFPIが冠動脈に過剰に発現しており、その増加におおじて血中レベルも増加し凝固能が亢進していることと、血小板機能が亢進し小凝集塊の形成が亢進していることを結論とした。また急性冠症候群での治療のマーカーとしてTFや血小板の小凝集塊の測定が有用であり、心事故の発症が予想される症例においては通常の治療に増して抗凝固、抗血小板療法が必要であると考えられた。
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